いかがお過ごしですか?今年もあっという間に夏がやってきました。夏休みはどちらにお出かけになりますか?熱中症など、暑さに気をつけてお出かけください。
昨年の年末号で宮城道雄記念館やマドラグ神楽坂店さんの大きなたまごサンドなどを書かせて頂きましたが、年をまたいでしまいますので奈良へ行った事を書かせていただきました。大変お待たせいたしました、神楽坂の続編です。
飯田橋から神楽坂駅へ向かう坂道は、飲食店やお店が立ち並び、途中には鰻屋さんや瀬戸もの店。お香屋さんや靴店など昔からの商店とカフェなど新しいお店があり、街はとても賑やかです。
途中、商店街から一歩路地に入ると、おしゃれな飲食店の向かえに、時代劇のセットで見るようなお稲荷さんが建立されています。その隣には見番があり、芸妓さんのお稽古場になっているようです。
「すごい、神楽坂に現役の芸妓さんがいるんだ」。そう言えば、街のあちこちに、舞踊会のポスターが貼ってありました。見番の前の新宿区が設置した説明看板を読むと、時折見番からは三味線の音も聞こえてくるそうですが、この日はお稽古日ではないようで、残念でした。
また一歩違う路地を入ると、「えっ、東京にこんな所あるんだ」と、敷石が敷かれた道にベンガラ色の赤を鮮やかにしたような塀、そして竹で組まれた低い垣など、なかなか風情があります。また違う路地には華やかな雰囲気とは異なり、クラシカルな建物などが立ち並び、落ち着いています。
神楽坂は冬至から節分まで配られる「一陽来復」の御札で有名な穴八幡宮又は、市ヶ谷亀ヶ岡八幡宮の御旅所(※1おたびしょ)となる若宮八幡神社が神楽坂の地にあり、祭礼の時に神輿がお渡りになり神楽が奏された事に由来する説や、江戸時代に亀ヶ岡八幡宮の神輿が、江戸城外堀牛込御門(現在の飯田橋駅付近)に安置され、神楽が行われたなどの説がある様ですが「神楽」に由来する事に変わりが無いようです。
そして江戸時代は武家屋敷と寺社の町地だったそうですが、明治の中ごろから商店街ができ、 年前の関東大震災後から花街として繁栄し、新宿をしのぐと言われたそうです。戦後には今の商店街に変わり、料亭のたたずまいや飲食店の多いことが当時をしのばせるそうです。
現在も寺社が多く、坂の上には有名な毘沙門天、神楽坂上の交差点には、江戸三十三観音札所の安養寺や赤城神社などが建立されています。社寺の清々しい空間と、見ていても楽しい商店や食べ歩きができるお店。料亭などの大人の街、またすぐ近くに東京理科大があるので学生さんも多く、色々なものが混在して、歩いてとても楽しい街です。
「あっ、赤城神社のカフェに行きたい!」テレビ番組で、神社の中におしゃれなカフェが併設されているのを観たことがあり、ぜひ行ってみたかったのです。
神楽坂上の交差点から更に歩くと、右に大きな鳥居と大木が見えます。鳥居の朱と木々の緑が映え、都会の真ん中にある事を忘れさせます。
「ここが隈研吾さんが設計されたお宮か!」。境内は明るく開けて、スッキリとした雰囲気です。現代的ですがとても清々しい。赤城神社は新国立競技場を設計された隈研吾さんが設計されました。「杜」と「坂」をイメージされたそうで、ガラスの壁で開口部を大きく取られた社殿は、外光を一杯に取り込んだ清浄な空間となっているそうです。
明るくスッキリとした社殿と木の柱のやさしさ、一面に敷きつめられた御影石。目に見えるもの全てが一体となり清々しい空間となっています。
隈研吾さんは国内だけでなく世界各地で建築のプロジェクトに携わるなど国際的に活躍されています。木材を使うなど「和」をイメージしたデザインが特徴的で、「和の大家」と呼ばれているそうです。歌舞伎座や根津美術館、サントリー美術館なども手がけられ、浅草雷門の前の浅草文化観光センターも、そのひとつとなります。
お参りをすませ、早速カフェへ。ここからの眺めも最高でお宮の眺めはまるで美術館にいるようで、ゆったりとした時間を過ごしました。アイスコーヒーも美味しかったです。とても落ち着きますよ。
商店街には肉まんで有名なお店や、日光金谷ホテルのベーカリー。そして不二家さんの、ひときは目を引くぺこちゃん焼きがあります。ぺこちゃん焼きを目当てに、店内から外まで行列です。
元々はこちらの店舗で今川焼を販売していたそうが、いつの頃からかペコちゃん焼となり、現在では定番の小豆餡の他、ミルキーや青りんごの中身など豊富になったそうです。
焼いている時に、目の部分に気泡ができたり、その焼き上がりが恐かったり可愛かったりと、楽しみのひとつとなっています。
「それにしても、よく歩いたな。また来よう」。まだ見切れないお店や、通りなどがあります。またいつか次の楽しみにしたいと、ぺこちゃん焼きをお土産に、神楽坂を後にしました。
※1御旅所(おたびしょ)は一般的に本社からお神輿に乗られた神様が、巡行の途中で休憩または宿泊する場所です。御旅所にお神輿が着くと御旅所祭が執り行われ、神楽などが奉納されます。
※このニューズレターは令和元年8月1日に発行いたしました。
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