埼玉の世界遺産へ・・・

 こんにちは。いつもありがとうございます。秋の気配を感じます。もう少しで過ごしやく

なりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?今年こそはゆっくりと、お月見をしたいと思っています。

 東京に近く、ベットタウン的な埼玉。ですが多くの伝統が残ります。その中でも世界遺産の細川和紙。前から気になっていた和紙の里・小川町に行ってきました。東武東上線の朝霞台駅から電車に乗り約50分。普段お世話にならない路線からか、車窓からの眺めにワクワクします。

 川越を過ぎると、住宅街を進み田畑の眺め、小さな山間の風景を抜けて、小さな旅気分です。「おーっ、着いた!」と、体を伸ばし息を吐くと、初めての小川町駅は夏の日差しが照りつけ、まるで夏休みにおじいちゃん、おばあちゃんがいる田舎に遊びに来た様で、どこか懐かしい雰囲気です。


 駅からバスで10分。お目当ての埼玉伝統工芸会館に到着します。

 12時前ですが、敷地内の「麺工房かたくり」さんでランチを。1日20食限定の十割そば天ぷら付きを注文致しました。


「ん、とろあおい入り?何だ、とろあおいって?」何やらメニューにその説明が書いてあります。【とろあおい】はアオイ科の植物で、根の粘液質を使い、和紙を作るときの糊に使われるそうで、胃を丈夫にする漢方薬にも使われているそうです。一口食べて、思わず「んー。美味いっ!」と言ってしまいましたが、とろあおいが入ってるからでしょうか、そばの風味に薄らと独特の香りと美味しさが加わった感じです。

天ぷらも海老や魚など海産物が入らず、柔らかなオクラに、クリーミーな茄子や肉厚なピーマン等、地物の野菜と思う精進揚で大満足でした。


 よいよ紙漉(す)き体験へ。葉書と栞のセットや伝統的な流漉(ながしすき)等、何種類かの紙漉きを選べます。「あれ?紙の色が違う?」葉書と栞は漂白したようにまっ白く、流漉の紙の色は温かみのある生成色で、その白さが違います。受付の女性に「もしかして大きい方は和紙で、葉書は洋紙ですか?」と聞くと、「はい、そうです。流漉は和紙です」と教えてくれたので、和紙の方を漉く事にしました。

 小川和紙は小川町と東秩父村で作られる手漉き和紙で、奈良時代よりの歴史があります。また、江戸中期に紀州細川村で作られていた細川奉書(※1ほそかわぼうしょ)という質の良い紙の技術がここに伝えられたそうです。

 楮(※2・かず)と言う植物だけを使った細川紙は、昭和53年に国の重要無形文化財に。また平成26年には島根県の石州半紙・岐阜県の本美濃紙と、小川町の細川紙がユネスコ無形文化遺産に指定されました。

 いざ体験へ。学習机の半分位の木製の水槽には、白く澱んだ液体が入っています。その水槽の上に、木枠と細かい簾がセットされた道具が乗せられています。

 職人さんが向かい合い、まず見本を見せてくれます。「チャポン」と簾の中央で波が高く立つように漉きますが、いざやってみると・・・波が立ちません。「重っ!こんなに重たいんですか?」と職人さんに聞くと、「けっこう力が要(い)るんだよ。」A3位の紙ですが、腰にズッシリひびきます。

「これは腰が痛い人は大変かも・・・。大きい紙はもっと重たいんだな!」と、足腰のバランスが大切なのが分かりました。紙を漉くのに身体全体を使うのも、楮と言う植物を、紙を漉くまで柔らかく液体に混ぜる工程も、伝統を守るのも相当大変なのですね。


 紙の元となる液体は、先程食べた蕎麦に入っていた「トロアオイ」と言う植物の成分を混ぜてあり、ヌルっとしています。紙を漉いた後の腕までもヌルヌルしています。

 職人さんに案内され、漉き終えた紙の上に葉っぱや染められた色紙をはさみます。モミジの葉や花びらなどが用意され「んーどんな絵柄にしようかな?」と、夏らしく水流にモミジを配しました。これが結構難しく、数10分も時間が経ってしまいました。「うー、ヌルヌルの 腕を早く洗いたい!」と思っていましたが、紙のデザイン中に乾いてしまいました。作業も終わり流し場へ。「あれ?サラサラ!」驚く事に腕に水を掛けても全くヌルヌルしません。

「トロアオイは紙漉きの過程では、繊維をお互いにつなぎとめる作用があります。粘着力がないので乾燥の時には紙を1枚1枚はがすことができます。」というのをこの会館で読みました。「なるほど!」だから、乾くとサラッとするのですね。

  小川町では1250年も前から紙を生産していました。「今より不便だった時代に先人の研究や開発はすごい!紙もだけど、陶磁器や木工だったり」と思っていました。それ以外にも、世界に誇れる時計や乗り物。その繊細さが今でも日本人の中に生きているのは本当にすごい事だと思います。

 館内は加須の手書きの鯉のぼりや雛人形、春日部の桐箪笥など埼玉の伝統工芸が展示されております。また併設された道の駅では地物の野菜が売られていて、お客さんでいっぱいです。


 そして『あっ、あった!』母が国産の金胡麻を探していたのを思い出しました。なかなか国産の胡麻が販売されていないようで、『どこか行って胡麻あったら、買ってきて。』と言われていました。国産の金胡麻と、生産者の名前が入った手作りの梅干を買えて、大満足です。

「さーってと、そろそろ行かなきゃ!」と、友達と夕飯の約束をした次の目的地へと向かいます。ここは日常の喧騒を数十分で忘れさせてくれる町。「山と川がキレイで小川町いいな。近いしまた来よう」と、池袋行きの電車に乗り込みました。


(※1ほそかわぼうしょ:細川紙は現在の和歌山県高野町より伝わります。国産の楮(こうぞ)を原料とし、伝統的な用具で作られます。楮の内側の繊維は強靭で流漉きにより楮の繊維が絡み合い、丈夫な紙となります。耐久性の良さが細川紙の大きな特徴の1つ。)



(※2・かず:本来は楮(こうぞ)と読みますが、小川町では「かず」と言うそうです。)


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