大和はまほろば

 平成15年7月より発行のニューズレターも今回で100号となりました。「楽しかったよ」「いろんな所に行くのね」などいつも沢山のお言葉を頂き感謝です。ありがとうございます。

 前回は奈良の春日大社から若草山までを書かせていただきましたが、今回はその続きを書かせていただきます。

 鹿の歩みと同じく若草山の麓を進むと古い墨屋さんなどがあり、大仏建立を助けた八幡様をお祀りする手向山八幡宮へ。

この度は 幣(ぬさ)もとりあえず 手向山
      紅葉(もみじ)の錦 神のまにまに

(この度の旅は上皇様の御幸のお供で急いで来た為に、奉る幣(供え物)を用意できずに来ました。この手向山のみごとな紅葉の錦を幣として、神様の御心のままにお受け取り下さい。)と言う意味です。色鮮やかな紅葉の情景が思い浮かぶ見事な歌ですね。

 この和歌(※1)は菅原道真公が、宇多上皇の御幸で手向山八幡宮を訪れた際に詠まれ、古今和歌集や後に百人一首に選ばれました。

「あっ、貴族の屋敷みたい!」拝殿の奥にある本殿は寝殿造の様な佇まいで、雅な平安貴族の屋敷のような雰囲気です。

 境内には道真公が座られたと言う、管公腰掛岩があります。道真公と言うと、太宰府の飛梅伝説など、神秘に包まれたお話が多いのですが、実際に「この岩に座られたのか!」と、感動いたします。

 手向山八幡宮は、天平勝宝元年(1270年前)に東大寺の守り神として創建され、大分県の宇佐神宮よりお招きされた際に、日本で初めてお神輿にお乗りになった神様でもあります。道真公や初のお神輿など、歴史好きの私にはたまらなく嬉しい場所です。

 手向山からすぐ目の前は東大寺の三月堂、その並びに二月堂と、すぐそばに四月堂が建ち並びます。三月堂も結構大きな建物で、中に入ると、巨大な乾漆(※2)で作られた観音様がおられます。「大仏様も大きいと思うけど、ずいぶん大きいな」。大きくて、悠久の時代を渡ってこられたお姿は、優しい表情が印象的で、しばらくお顔を眺めていました。その他にも、表情豊かな仏像が立ち並んでおります。

 時間はお昼。二月堂に上がる前に絵馬堂茶屋さんへ。メニューを見て「これだ!」奈良と言えば素麺。冷たいにゅう麺と柿の葉すしのセットを即決。

「うまっ!」。最初に澄んだお汁を口に入れると、しっかりと出汁が利いていて上品。ツルっとした素麺とよく合って、外の暑さを忘れさせてくれます。

 また柿の葉すしも少し丸みがあって手作り感があり、酢の加減がほどよく馴染み、とても美味しかったです。奈良の名物を2つ味わえました。

 いよいよお水取りで有名な二月堂へ。その手前を少し下った場所に若狭井があります。

この若狭井はお水取りの前に若狭国の若狭鵜の瀬(※3)から、この若狭井に水が送られてくるという井戸で、この水を汲んでお供えするのでお水取りと言うそうです。

 二月堂に上がる石段に青海波や亀甲などの文様が掘られています。「何の文様かな?火伏せかな?」などと考えながら上りますが、美しい文様はとても不思議でした。

 ちょうど二月堂の脇から道内に入ります。二月堂は京都の清水寺のような舞台造りで、ここからの眺めは最高。

高いからでしょうか、舞台を抜ける風が気持ちよく、暑さを忘れさせてくれます。ベンチに座りしばらくボーっと涼んでいると、新人バスガイドさんの研修と見られる一行が、先輩の説明を熱心に聞いていました。ラッキーです。「この舞台からは大仏殿、奈良市街地、そしてその先の山が生駒山でその山を超えると大阪府で・・・」と、私も耳を大きくして聞きました。

「あーぁ、何て美しい景色だろう!」金色の鴟尾が輝く大仏殿の大屋根に木々の緑。そして遥か遠くの山並みは、心が洗われるようで、十分に目に焼き付けようと思いました。

 二月堂を下ろうと、今度は逆側の廻廊側の石段を下ります。その回廊の壁に黒く煤をこすりつけた様な跡が残ります。「あっ、きっとお水取りの時の・・・」。大きな松明を掲げて、この回廊を上る、その勇壮さがよく分かります。

 二月堂から大仏殿へ向かいます。途中強大な鐘楼が現れ「わっ、こんな大きい鐘・・・そう言えば中学の修学旅行でも見たかも」。

大人になっても本当に大きい国宝の鐘。鐘楼の木の縁に座って柱に寄りかかると、ちょうど良い日陰ができ、涼しくて気持ちよく、ついうとうと「あっ!」と、気付いた事に驚く程寝入ってしまいました。

 時代の中で焼失や倒壊し、再建された建物もありますが、全て長い時間を経過した仏像や調度、そして立派な建物群に心が癒されます。(奈良3号へと続きます)

※1 この和歌を詠まれたのは、手向山八幡宮の説や奈良の山中など諸説あります。

※2 麻布を漆ではり合わせ素地として、上塗りをして仕上げた仏像。

※3 若狭国は今の福井県で、お水取りの10日前に小浜市の鵜の瀬で「お水送り」が行 われます。 鵜の瀬から東大寺二月堂の若狭井に届くと伝えられています。 


(このニューズレターは、平成31年3月1日に発行したものです。)

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